（表紙に戻る）
（苗場２００５表紙に戻る）
Ｙｕｍｉｎｇ
ＳＵＲＦ＆ＳＮＯＷ ｉｎ Ｎａｅｂａ ｖｏｌ．２５
２５ｔｈ ANNIVERSARY ２００５
Ｎａｅｂａ戦記２００５
ライブ篇
西暦２００５年２月２３日
通常のツアーよりも、ステージと客席が遥かに近い苗場のライブですが、それでも、やはり、曲を演奏している間のステージの上は｢聖地」。その間には、次元の違いと言うか、ミンコフスキーの空間（四次元）と言うか、超えられない壁があるようで、ファンには立ち寄りがたい夢の場所です。ただ、かつて一度、客席から選ばれたファンとユーミンが「愛のWAVE」をデュエットした、という企画があったそうですが、もうそれも今となっては、一種の「苗場伝説」のように思えていました。
ところが、vol.25となった今回の初日、恒例のリクエスト・コーナーとコーラス陣によるメンバー紹介が終った後、衣裳を換えて再登場してきたユーミンが口にしたのは意外な言葉でした。「『愛のWAVE』を私とデュエットしませんか？そんな勇気のある人は手を挙げて。」瞬間、ブリザーディウム中に「オー」というどよめきが広がりました。「伝説」と思っていたユーミンとのデュエットの再現です。ただ、この日の私には、突然の事で、手を挙げる勇気がありませんでした。他の方もそうだったのか、みんな石のように硬直してしまっている中で、ただ一人手を挙げた人がいて、ユーミンに招きよせられて、ステージに上がった姿を見ると、何と知り合いの人でした。
当然ながらバンドメンバーの方も全員登場しています。ユーミンとのデュエットのみならず、武部さんや市川さん、中川さん、田中さん、村石さん、かほりんさん、ティナさん、今井君、ミエりんさん、このようなすごいメンバーをバックにして歌うなんて、畏れ多いというか、最高と言うか・・・もしかして、もうちょっと勇気があれば、あそこに上がれたかも知れない、と思うと残念で、次には２２、２３日に行くことになっていましたが、今度は必ず勇気を奮い起こして、絶対手を挙げようと思ったのでした。ついでに、ネッパで見た２０日にも指名されたのは、別の知り合いの方でした。
「愛のWAVE」は、かつてファン友達と「ユーミン・カラオケ」に行った時、何回かデュエットした事があって、その時は、うまく行ったのですが、無論、カラオケと本物のステージは、違います。２２日、いつものように東京駅始発の上越新幹線の「とき」に乗っている時も、越後湯沢から苗場に向かうバスの中でも、iPodで繰り返し「愛のWAVE」を聴きながら、もし、指名されてステージに上がることがあれば、どうやって歌おうか、とずっと考えていました。さて、苗場プリンスに着くと、天気予報では、この日は「雪」でしたが、実際には快晴・・早速３６０度の眺望を見るために、筍山の山頂まで上がってみました。
この日の苗場、快晴でしたが、空気は顔の皮膚が「キュン」となるほど、冷たかったです。山頂では零下１０度近くになっていたと思います。「ダイアモンドダスト」に似た現象が見えたので、デジカメを向けてみました。
ただ、本物の「ダイアモンドダスト」が見られるのは、零下２０度くらいですから、これは、雪が風に吹き上げられてできた、類似の現象の様でした。
ここでもしばらく、ウエアのポケットに入れていたiPodを取り出して「愛のWAVE」を雪の上に座り込みながら聴いていましたが、空を見ると、上空を行く旅客機が曳いた「ひこうき雲」がいくつか見えました。
かつて苗場初参加だった１９９８年のvol.18、リクエスト・コーナーに当たって、ユーミンと初めてお話した日（ただしその頃はまだステージには上がれませんでした）に、やはり昼間はここに来て、こんな光景に出会ったな、とぼんやり考えていました。
さて、２２日の公演は、整理番号３００番台の半ば、やや左のブロックの５列目位です。ステージに近いのは嬉しいのですが、デュエットは、かつての指名式のリクエスト・コーナーと同じく、後ろの席の方が有利みたいで、この時点で今日は無理と思いました。実際、この日は手を挙げてみましたが、指名されたのは、中央のブロックあたりのかなり後方の人でした。翌日は整理番号が８００番台後半で、席ができるだけ後ろの方になることを（いつもは逆の事を祈っているのですが（苦笑））願う事にしました。
翌２３日、運命の？日、この日は、ドラゴンドラに乗って見ましたが、強風でかぐらのリフトが全て止まっていて、田代までしか行けませんでした。ちょっと幸先悪いなと思いながら、入場前の並びへ・・・。この日の席は、念願の？中央ブロック、最後列が近い席でした。少なくとも場所としては、申し分ありません。そして、少々ドキドキしながら、リクエスト・コーナー、コーラス陣によるメンバー紹介が終わり、ユーミンが再登場してくるのを待ちました。そして、この日も、ユーミンからデュエット・コーナーの説明、多分始めて聞く人も多いようで、やはり客席から「オー」の声が洩れます。
手の挙げ方は「オレ流」でいいと思います。私は、声は出さず、小学生の頃の授業中を思い出して、まっすぐにはっきりと挙げていました。ただ、ユーミンの視線は、右のブロックを一瞥した後、私のいる中央をすり抜けて左のブロックへ、そして、一度指名しましたが、キャンセルになり、ユーミンの視線は、私のいる中央ブロックへ・・。ユーミンが「後ろの方がいいなあ・・」と視線を客席後方に向け、そしてユーミンと目が合ったと思った瞬間、「その
白いＴシャツ
の人」・・こういう時の常で当たった時には、にわかに信じられず、慌てて辺りを見回してしまいましたが、ユーミンは確かにこっちを見ているし、廻りにいた方から励まされて、やっと通路に出ました。
ステージに向かう時は、緊張でロボットみたいな動きになっているのが、自分でもわかりましたが、でも、どこからか会場にいるファン友達の方の「Shinさーん」という声が聞えてきて、やっと我に帰り、小走りにステージに上がりました。ステージに上がる瞬間は、ドラえもんの「どこでもドア」を抜けたと言うか、次元の壁に突入した、と言うか、光を飛び越えた、と言うか、向こう側のステージ上は光の世界でした。
これまでで一番間近で見るユーミンは、ステージ上だからメイクは当然していますが、「ケバイ」という感じは全然せず、笑顔が輝いていて、周囲にはプラズマの様にオーラが飛び交い、背後には後光が射しているように見え、目の前に降り立った観世音菩薩のようでした。ユーミンに「大丈夫？」と聞かれて、何とか「ハイ」と答え、マイクと歌詞カード（私の歌うパートには「お客さん」と書いてありました）をスタッフから渡してもらい、もう余裕はなく、いきなり「愛のWAVE」のイントロが始まります。その間にユーミンから名前を聞かれて答えた後・・・。
「♪夜明け近く きみからテレフォンコール・・・」
歌いだしは、私のパートなのですが、緊張のためか、自分でも「何で？」と思うくらいの低い声が出てしまいました。カラオケでは、こんなことないのですが・・・・やはり素人がプロの現場に迷いこんでしまうとこうなのでしょう。ユーミンが笑いながら腰を落としてしまうのが見えて、「しまった、外したかな?」と思いましたが、あれは声が低いという意味だったらしかったです。（後で聞いた話では、私の背後にいたコーラスのティナさんに大受けだったみたいです）
「♪やっぱり あなたしか見えない これでおしまいと 思ったけど・・・」
ユーミンのパートの間は、どうしていいか判らないので、声を出さずに歌っていました。すると、ユーミンが手招き、最初は立ち位置が離れていたのですが、ユーミンが立つ定位置のマークなのか、ステージの中央に×印があって、そこで並んで歌うことになりました。
「♪いつも いつも どんなときも あなたが傍にいた・・・」
ここは、声を合わせるパートですが、なかなか声の修正ができません・・・そして、間奏。何か「声が低くてすみません」という感じで客席に最敬礼してしまいました。
しかし、歌っている時、私の位置からはステージの下手側しか見えませんが、まさに今は自分のために、武部さんが、中川さんが、田中さんが、村石さんが、伴奏して下さっているのが見え、大感激でした。これはライブ前にも考えていた事でしたが、終ったらバンドメンバーの方々にも必ずお礼を言おうと思ったのでした。
それにしても、ステージに上がると、ユーミンの「この苗場は一人ひとりの顔がはっきり見えて・・」と言う言葉が本当に実感できました。客席後方は暗くなってますが、それでも、何人かチラリと知り合いの顔が見えましたし・・・ただ約２５００の瞳からの視線を受けると、まさにカルチャーショック状態。横アリ位の会場ならば、約３万の瞳の視線を一身に受けながら、毎日のようにステージをこなすユーミンの凄さ、というか、偉大さというか、改めてわかるのでした。
「♪今なら決して遅くはない・・・」
後半の歌いだしは、最初私のパートと書いてましたが、ビデオ見て確認すると、ユーミンのパートでした。私のパートは
「♪心のチャンネルを変える前に・・」
・・・・まだ修正は不十分ながら、何とか歌えました。ただ、危うく次の
「とんでゆくよ」
を「飛ばす」ところでした（笑）。そして、最終パート前、ユーミンと私が交わした一言、二言・・・内容は・・・・ご想像にお任せします。
「♪いつも いつも どんなときも あなたが傍にいた・・・」
さて、最終パートへの突入です。とにかく、ユーミンと並んで、その強烈なオーラを感じながら、この辺りは外さないように、必死でした。
「♪今日も 明日も どこにいても 送り続けよう愛のWAVE・・・・・」
歌い終わった瞬間には、何かステージに腰を落としてしまいそうでした。何とかユーミンに「ありがとうございました」とお礼を言うと、ユーミンから「低音の魅力ですね」とお言葉･･･恥ずかしかったです（汗）。
ユーミン「ご気分は？」
私「最高です。」
ユーミン「気持ちいいでしょ？」
私「そうですね。気持ちいいというか、メンバーの方に演奏していただける（事がある）とは、思ってもいませんでした。どうもありがとうございました。」
何とかメンバーの方々へも、お礼ができました。
ユーミンの「また遊びに来てください」というお言葉に送られて、何か足がフラフラしながら、自分の席へ・・周囲の方からも祝福されて嬉しかったです。ステージに向き直ると、さっきまで自分がいたと言うことが信じられない位、ステージが遠くから仰ぎ見るオリンポスの山のような感じがしました。そして、もういつも通り、次の曲「無限の中の一度」が始まっていました。
公演が終わり、外に出てからも、いろんな人から、お祝いのお言葉をお受けしました。この場を借りまして、改めて、御礼申し上げます。
本当に夢のような出来事でしたが、ただ、この事は、ユーミンのファンとしての終着点ではなく、更なる出発点と思っています。今後とも長く、微力ながらも、ユーミンを応援していきたい、という気持ちを新たにいたしました。
で、翌日、朝食を取るためにホテル内のレストランに行くと、レジ係りの方から、「昨日見ました」と声をかけられました。ホテルの従業員の方も、非番の日には見に行っておられるのですね。その他、エレベーターの中、ドラゴンドラで乗り合わせた人からも、お祝いの言葉をいただきました。そして、ゲレンデに出るため、エレベーターを降りたら、何と市川さんと鉢合わせ、お礼を言うと、「ああ、昨日の方ですね」と思い出していただきました。
とりあえず、ユーミンとの「愛のWAVE」デュエット体験記でした。苗場２００５のレポは、まだまだ続きますが、ひとまずレポのペンをおきます。皆様、どうもありがとうございました。
２７ｔｈ Ｆｅｂｒｕａｒｙ ２００５ Ｓｈｉｎｇｏ Ｍｉｙａｚａｋｉ
（表紙に戻る）
（苗場２００５表紙に戻る）
